多言語サイトの制作手順を、重要なステップごとに解説します。
1. WordPressとWPMLのインストール
WordPress本体をインストールした後、プラグイン「WPML (WordPress Multilingual Plugin)」をインストールします。WPMLは有料プラグインなので、公式サイトから購入し、ライセンスキーを取得する必要があります。管理画面から「プラグイン」→「新規追加」でWPMLをインストールし、有効化します。その後、取得したライセンスキーを入力して認証を完了させます。
2. 言語設定の初期化
WPML Setup Wizardを使用して初期設定を行います。管理画面の「WPML」→「言語」から、サイトのデフォルト言語(プライマリ言語)と追加言語を選択します。各言語のURLフォーマットも設定します。URLフォーマットには「ディレクトリ」(例:example.com/ja/)、「サブドメイン」(例:ja.example.com)、「ドメイン」(例:example.jp)の3つのオプションがあります。一般的には「ディレクトリ」方式が推奨されます。
3. 言語スイッチャーの設定
サイト訪問者が言語を切り替えられるように、言語スイッチャーを設定します。「WPML」→「言語」→「言語スイッチャーの設定」から、表示スタイル(ドロップダウン、リスト、フラグアイコンなど)を選択します。その後、「外観」→「ウィジェット」または「外観」→「カスタマイズ」から、言語スイッチャーをヘッダーやサイドバーなど適切な位置に配置します。
4. テーマとプラグインの翻訳
使用しているテーマとプラグインの文字列を翻訳します。「WPML」→「テーマとプラグインの翻訳」から、翻訳が必要な文字列を確認し、各言語版を作成します。自動翻訳機能を利用することもできますが、より正確な翻訳のために手動で確認・編集することを推奨します。特にメニュー項目やウィジェットタイトルなど、ユーザーの目に触れやすい部分は慎重に翻訳します。
5. 投稿・固定ページの翻訳
既存のコンテンツを他言語に翻訳します。投稿や固定ページの編集画面で「+」アイコンをクリックし、翻訳を追加します。WPMLの翻訳エディタを使用して、タイトル、本文、抜粋、メタデータなどを翻訳します。翻訳作業は以下の2つの方法から選択できます:
- 手動翻訳:オリジナルの内容を確認しながら、翻訳版を作成
- 自動翻訳:WPMLの機械翻訳機能を使用(要編集・確認)
6. メディアの多言語化
画像やPDFなどのメディアファイルの多言語対応を行います。メディアライブラリの各ファイルに対して、言語ごとに異なるタイトル、キャプション、代替テキストを設定できます。「WPML」→「メディア翻訳」から設定を行います。画像に表示されているテキストが言語によって異なる場合は、言語ごとに別の画像をアップロードすることも可能です。
7. メニューの翻訳
サイトナビゲーションの多言語化を行います。「外観」→「メニュー」から、言語ごとにメニュー構造をカスタマイズできます。各言語版で異なるメニュー構造が必要な場合は、個別にメニューを作成し、WPMLのメニュー同期機能を無効にします。メニュー項目の順序や階層構造は、各言語の慣習に合わせて最適化することが重要です。
8. SEO設定の最適化
多言語サイトのSEO対策を行います。以下の点に注意して設定を行います:
- 各言語版のメタタイトルとメタディスクリプションを適切に設定
- hreflang属性の確認(WPMLが自動で設定)
- 言語ごとのサイトマップの生成
- 各言語のキーワード研究と最適化
Yoast SEOなどのSEOプラグインとWPMLを併用する場合は、互換性の設定も確認します。
9. パフォーマンスの最適化
多言語サイトの表示速度を最適化します。WPMLのキャッシュ設定を適切に行い、必要に応じてCDNを設定します。また、以下の点にも注意を払います:
- 画像の最適化(言語ごとの画像サイズの調整)
- データベースの最適化(定期的な不要データの削除)
- キャッシュプラグインとの互換性確認
- サーバー負荷の監視と調整
10. テストと品質管理
すべての言語版で以下の項目をテストし、品質を確認します:
- すべてのページの表示確認
- 言語切り替えの動作確認
- フォーム送信やeコマース機能の動作確認
- レスポンシブデザインの確認
- クロスブラウザテスト
- 翻訳の品質チェック
定期的なコンテンツ更新時にも、各言語版の整合性を維持するための品質管理プロセスを確立します。